今週のお題「オンライン」
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1985年ころ。当時、部活でパソコン三昧の生活をしていました。
そのころの思い出を語ります。
そのときのT部長は、高校2年の時、事前勉強なしで情報処理二種に合格したすごく優秀な人で、その彼が自作した対戦する軍人将棋ゲームが、私にとって初めてのオンラインゲームとなります。
当時、インターネットはまだ一般人はその言葉すら知らない時代でしたが、コンピュータ同士が通信できることは映画「ウォー・ゲーム」などで知っていました。ただし、電話の受話器をセットして通信する音響カプラを使っていて、通信相手と言えば、大学や大企業、または軍やシュタインズ・ゲートに出てくるCERNなどの研究機関というイメージしかありませんでした。
このゲームのシステム構成は、1メートルくらい離れた2台のパソコン(NEC PC-6001) のRS-232Cポート間をケーブルで繋いだ、モデムなどのハードを一切使っていないシンプルなものですが、すごく感動した憶えがあります。
RS-232Cは外部機器と接続するためのシリアル通信インターフェース規格で、1980年代後半以降、多くのPCで同規格のD-サブ9ピンの通信ポートが標準装備されるようになりました。今ではUSBにバトンタッチしていますが、20年くらい活躍しましたね。
上述のNEC PC-6001は1981年に発売されたパソコンですが、いち早くRS-232Cポートを採用していて、NECからそのポートを使った純正ジョイスティック(ゲームコントローラ)も売られていました。
T部長は、どこからその情報を得たのか知りませんが、コネクタ付きのRS-232Cケーブル2本(1本1200円くらい)を秋葉原で購入し、送信と受信の線をクロスにはんだ付けして、P2Pケーブルを自作。それを使って実現したのが、上述の軍人将棋ゲームだったのです。
その仕組みをT部長から伝授してもらい、自分も秋葉原に行ってケーブルを購入、早速自作しました。
とりあえず、2台のパソコンでチャットするプログラムを作成。当時プロトコルという言葉も知らないころで、通信手順は完全オリジナル。最初に「親」設定のプログラムを動かしてから、もう1台のパソコンの「子」設定のプログラムを動かす必要がある「しょぼい仕様」でしたが、初めてチャットできた時は涙目になるほど感動しました。
その後、速度が遅かったのを、主要な処理をアセンブラ(Z80)で記述するなど改善して、使い勝手が良くなったので、他の部員にも配布しました。
そして、そのうちの一人がチャット画面を改造し、人工知能搭載の占いソフトとして文化祭に出展。暗幕の裏側に接続したパソコンとオペレーター(部員)が待機し、お客様が占って欲しいことをテキスト入力すると、オペレーターがパソコンからの回答テキストを入力。さも、パソコンの人工知能で回答したと見せかけたインチキソフトです。
さすがに、すぐにバレるだろうと思って見ていたが、片言の日本語で回答すると、スゴーイと意外と信じていました。そして、占いだけに恋の相談をする女子も多く、その部員は超A級の秘密を握ることに。
さすがにバレたらやばいということで、2時間くらいで店じまいすることになりましたが、とんでもないものを作ってしまったと、ちょっとアインシュタインな気分になりました。(すみません!)
ちなみにPC-6001はこんな感じです。
1981年発売のパソコンPC-6001の未開封品を開けました(動画)
StarTech.com 1m RS232Cシリアルクロス/ヌルモデムケーブル メス(DB-9/D-Sub9ピン) ‐ メス(DB-9/D-Sub9ピン) ブラック SCNM9FF1MBK
- 発売日: 2014/12/18
- メディア: Personal Computers