今週のお題「鬼」
今年の正月に見た夢を基に300年後の世界のことを語ります。
西暦23xx年、人類は3つのタイプに分類された。
ひとつは前頭部、両の眉尻の上に通称「鬼骨」と呼ばれる骨があり、それが成長して角が生えているように見える「ツノアリ」、
もうひとつは「鬼骨」はあるがそれが前面方向には成長せず、見た目ではわからず、レントゲンやCT検査でわかる「ツノナシ」、
そして、「鬼骨」を持たない「レガシィ(旧人類)」の3タイプだ。
ツノアリが確認されたのは2200年ころ。原因は2000年代に猛威を振るったウィルスの影響ではないかとも言われているが、まだ明らかになっていない。その後、鬼骨が成長しないツノナシも相次いで確認された。
この気骨は一種の病気なのかと考えられたが、特に体調が不調になることもなく、寧ろ嗅覚が鋭くなるという特徴があった。厳密には鋭いと言っても、近くで匂いを嗅いだ時、鬼骨を持つツノアリ、ツノナシとレガシィの区別がつくぐらいの差しかなく、他の身体能力や知能などにもほとんど差はなかった。
これは病気でなければ進化のひとつではと考える学者もいたが、これについては未だに決着がついていない。
これが確認された2030年代ころは少数だったが、2100年代ころにはこの3つのタイプの人口はほぼ同じ割合になっていて、そのころからツノアリ、ツノナシ、レガシィに関する、ある2つの法則があることに気付いた。
一つ目は両親のタイプを必ずしも引き継がないこと。父がツノアリ、母がツノナシだった場合、子供はツノアリの場合もあれば、ツノナシの場合もあるし、レガシィの場合もある。そして、平均するとその確率は1/3だ。これは他のタイプの組み合わせでも同じことが言えた。これだけ見ると遺伝ではない、つまり進化の話ではないと考えられた。
二つ目は同じ両親から生まれる兄弟は全て同じタイプだという法則だ。つまり、兄がツノナシならば、自分もツノナシで、妹もツノナシだ。そして、両親が離婚、再婚すると再婚前の子どもたちがツノナシだったとしても、再婚後の子どもはツノアリやレガシィだったりすることがある。しかし、再婚後に生まれた兄弟は全て同じタイプになることがわかっていて、つまり、同じ両親の組み合わせから生まれる兄弟は全て同じタイプという法則にノットているのだ。
この法則にも例外もゼロではないがその発生確率は0.03%以下とか。これはほとんどの人類に適用できる法則で、この視点から考えると遺伝に関係するように思えるが、現時点の科学ではまだ解明されていないそうだ。
ちなみに、現在はこの3タイプと人種や住んでいる地域、環境との相関関係はないことが判明していて平和な社会になっているが、それが判明するまでは300年より前の世界よりもひどい差別やタイプ間の争いがあった。その話はまた機会があったら話したいと思います。
(Picture By Pixabay)