今週のお題「試験の思い出」
18歳の冬、某県某市にある大学を受けた。
大学から送られてきた受験票には前泊希望者への宿申し込み用紙が同封されていた。
料金はビジネスホテルより少々高かったが、大学が斡旋するところだから信用できるだろうと思い、即、申し込んだ。
しかし、それが間違いだった。
その宿は大学から車で30分くらいの山間部にある温泉宿、前日からの大雪のためか風情を感じる昔ながらの旅館だった。
部屋は他の受験生と相部屋だった。相部屋でこの値段はどうかという感想はあったが、同室の人は礼儀正しく、物静かな人で全然不満はなかった。
食事もすごく美味しいわけはないが、不味くもなく問題なかった。
温泉は露天があり、明日は受験だが雪見風呂が楽しめるとちょっと観光気分になった。しかし、入ると、、、ぬるい、ぬるすぎる。1分も経たず中の風呂へ。。。こちらもぬるい。早々に引き上げて部屋に戻った。
そして、夜。エアコンから僅かながら温風が出ているようだがコタツから出れないくらい部屋が寒かった。テレビも民放は2チャンネルだけ。仕方なく早々に寝ることにしたが、、、寒くて寝れない。
同室の彼も寝れなかったらしく途中で起きて相談。コタツで寝るというアイデアもあるがコタツで寝ると風邪をひくという言い伝え(?)が怖くて断念。代わりにコタツを立てかけて、その電熱器をストーブのようにしたら僅かながら暖かくなった。
とりあえず、この状態で寝ることにした。
翌朝、宿のマイクロバスで大学へ。昨晩さらに大雪が降ったらしく予定より30分以上前に出発。それでも思ったよりスピードが出せないらしく、いつまで走っても山の中。自分で大学近くのビジネスホテルを予約していれば、こんなことにならなかったのにと後悔の念。同乗している他の受験者からも発せられる不安とイライラが混じった重苦しい空気のバスで1時間。開始10分前にようやく学校へ到着。試験場の教室に着いた時は5分前とかなりギリギリだった。
そして、試験開始。最初のテストは物理。
『第一問は、、、あぁ、それにしてもなんて暖かい部屋なんだ。ここは天国か。。。』
ついさっきまで間に合うかどうか、やきもきしていたが、その不安からの解放とここの暖房の心地よさでついウトウト。昨晩の寒さによる寝不足で拍車がかかり、鉛筆を持ちながらとうとう夢の中へ。。。
当然、この大学には落ちました。
模試だとA判定で鉄板の滑り止めだったのですが。
こんな苦い思い出ですが30年以上経った今でもあのときの暖かい教室の心地よさは何となく憶えていますね。
教訓:大学の言うことは鵜吞みにしない
(Picture By Pixabay)