未来そうぞう日記

知的障害を持った息子と巡る日曜の東京、神奈川周辺の散歩、未来予想(妄想?)、そして気になる話題を報告します。

主語が大きい理由は?

このごろ「主語が大きい」という言葉を聞く。

自分の意見を言う時に「日本人は~」とか「最近の若い男性は~」とする言い方だ。そして、その多くはその意見を裏付ける統計や論理的な根拠がなく、ひろゆき的に言えば「それってあなたの感想ですよね」だったりする。

もちろん、昔からそんな言い方をする人はいたと思うが最近多くなったような気がする。そこでその理由を自分なりに考えてみた。

1.SNSで一般人の意見を見るようになったため

昔は各分野の専門家がテレビ、新聞、雑誌などの限られたメディアのみで発言していた。それがSNSの普及により一個人の発言でも多くの人に伝えることが可能になり、そんな一般人の意見が増えたためですね。もちろん、専門家はいつも適切な発言をするとは限らないが、それなりに時間をかけた調査、研究に基づいた統計や論理的な裏付けを持って、その名に恥じないよう誤った意見を出さないよう時間をかけて、細心の注意を払って発言する内容を検討しているので、当然思い付きでもSNS発信できる、大きな責任が生じない一般人よりは適切だと言えるでしょう。

2.バズリを狙い、誇張したり、偏った意見の発言のため

テレビ、新聞などの「マスメディア」はその内容に関係なく、そのメディアで発言さえすれば多くの人に伝えることができる。一方、SNSは著名人ではなくテレビには出られない一般人でも多くの人に自分の意見を伝える=バズる機会があるメディアだ。そして、そのバズリによる「いいね」は想像以上に大きな承認欲求を満たしてくれるため、バズリを目指し誇張表現をして本質からずれた発言をしたり、偏った過激な発言をしたりする人が出てきたというわけですね。

3.少数のフォロワーたちの同意により皆に同意されたと錯覚するため

結構マイナーな趣味でリアルな生活では周辺に認める人がいなくても、SNSで発言する人が同じような趣味を持っているがいてフォロアーが集まり、モノによっては何千人というひとつのグループを形成したりします。それは趣味だけでなく、考え方なども同様で自分の考え方に賛同してくれる人が多く見つかったりします。例えば100人に一人の意見でも日本だけでも125万人はいます。その1%でもフォロアーになれば1万人を超えます。このため自分の意見が多くの人が支持する意見だと錯覚してしまうというわけですね。

4.今の時代、そもそも大きな主語がなくなったため

上の3つはSNSに関連するものであったが視点を変えてみます。

下記は約30年前の1990年と2020年との人口と年齢の関係を示したグラフです。

1990年では一部引退している人がいるだろうが約7割が労働人口。高齢者の割合は1割強。それが2020年では労働人口が6割に減って、高齢者の割合は3割に迫る勢いということがわかります。一方、子供の割合は3分の2に。

つまり、30年前より政府がモデルとして示すような子供のいる家族の割合は減り、また労働人口全体も減る一方、年金暮らしの高齢者がマジョリティーとなったということですね。こうなると、例えば物価上昇で賃上げすればOKという意見も3割弱は恩恵が得られないことに。全体のための意見ではなくなったということです。

その他、核家族化、未婚率、一人親家族の増加などで家族の形も多様化。「日本人」という主語が使えない時代になったのでしょうね。

(統計ダッシュボード (https://dashboard.e-stat.go.jp/)のデータを加工して作成)

 

という個人的な認識ですが、そもそも島国である日本は皆一緒に同じ意見でという気風があるので「日本人は~」みたいな主語が大きくなる傾向は昔からあると思います。しかし、ここまで多様化し、その多様性を認めようとしている現代においては時代錯誤な考えとも言えますね。そう言えば、同調というのはポジティブな意味だったのが「同調圧力」という表現にも使われネガティブなイメージを持つようになりましたし。

 

今回はこんな意見をまとめた記事を書きましたが、別の自分の記事では主語が大きいことを書いていそうなので、自身も気をつけなければなりませんね。(そう思って今回は一部客観的な意見のベースとして統計情報を提示しましたが)