今回の散歩は鶯谷駅周辺。
鶯谷は山手線の中で一番影が薄い駅だとか。山手線で一番乗降客が少ないそうです。ちなみに二番目は目白駅。春を告げる鳥、鶯と目白が争うのはちょっと面白いですが。駅舎も地方ローカル線のようなこじんまりとした佇まい。駅ビルはおろか周りにはコンビニ(New Days)があるくらいで店はほとんどありません。
西側は上野寛永寺の霊園で東側の鉄道の上に架かる陸橋を渡った先に僅かですが繁華街があります。鶯谷に停まるのは山手線と京浜東北線だけですが並行して東京上野ライン、常磐線、東北本線(宇都宮線)があるので橋は結構長いですね。
橋を渡るとラブなホテルが見えます。そう、鶯谷はラブなホテルで有名な街。
昔、上野の隣となるこの駅周辺には地方から出稼ぎに来た人たちのために安い旅館が立ち並んでいたのがルーツだそうです。
それにしても朝顔通りというが何とも言えないネーミングですね。
また周辺には服飾や調理の専門学校の華学園があり、健全な面もありますが
ちょっと寂れた雰囲気の
元キャバレーだった怪しげなイベントホール「東京キネマ倶楽部」があったります。
また、電車通過を間近で味わえるこの歩道には
こんな看板があったりします。昭和の頃は駅近くで立ちションしている酔っ払いのオッサンを見かけたりしましたが、平成中ごろには見かけなくなりました。それでもまだ、このような看板が残っているとは。
そんな治安がちょっとという街ですがホテル街に囲まれて
神社「元三島神社」があったりします。こちら最初は三島神社でしたが諸事情で浅草の方に移転、その後、地元のラブコールで三分割して復活。一番元の位置に近かったここが「元三島神社」となったそうです。それほど大きくないですが健康長寿のパワースポットであり、俳人正岡子規のゆかりの地だそうです。
神社から北方向に2分ほど行った場所に正岡子規の住居で終焉の地でもある「子規庵」があります。こちら看板が出ているのでわかりますが、一見住宅地の普通の家?
振り返るとホテル街という崇高な文学とは縁の遠い感じの場所であり、見た目だったりします。
それでも道路際にはこんな子規の俳句が刻まれた石碑も立っていたりします。
こちらブロック塀に囲まれていますが、中は1950年に当時建物を復元したもので小さな庭の眺めを楽しむことができるそうです。しかも結核で床に臥せっていた晩年の子規同様、寝ながら庭を見ることができるらしいです。見学料は500円。この時は時間が合わなくて見学できませんでしたがぜひ再訪したいですね。駅からも近いので司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んだ人は是非訪問してみてください。
また、この目の前には
書道博物館なるものがあったりします。
そして、この近くにある根岸小学校。
こんな巨大なレリーフや
ステンドグラスがある立派な建物です。区立にしてはスゴイですね。
さらに学校の壁面には庚申塚があったりしますがよく手入れされています。神社だけでなく、この土地の人は信仰が厚いのかもしれません。
ちなみに卒業はしていないが池波正太郎もこの学校に通っていたそうだ。
ラブなホテルの街だけど実は文学の香りがするカオスな街、それが鶯谷ですね。
(つづく)