未来そうぞう日記

知的障害を持った息子と巡る日曜の東京、神奈川周辺の散歩、未来予想(妄想?)、そして気になる話題を報告します。

(未来予想)ぞうき栽培

2028年の妄想ブログ:

***** 少々ダークな内容です *****

ノーベル文学賞したカズオイシグロの代表作「わたしを離さないで」の映画を見た。話を簡単に説明すると、架空のイギリスを舞台にした臓器提供のために生まれてきたクローンの男女の物語という、非常にヘビーな物語です。SFとしてはよくある設定ですが、実際の世界では、当然ながら倫理的に許されることはない設定です。

では、倫理的にどこまでなら許されるとかというと、なかなか難しい問題で、例えば豚などの家畜を使って、クローンの臓器を作るとなると、技術的な問題はかなりクリアされたのだが、ほとんどの国が禁止している。その禁止理由は、家畜とはいえ個人のために生命を奪うことにやはり抵抗があること、人間以外の臓器を体内に入れることで未知の病気が発生するリスクがあること、他の生物のものを体内に入れることに対する患者本人が感情的、宗教的に拒否するケースが多いことなどだ。このため、ここ数年この研究に対する話はあまり聞かなくなった。

一方、iPSなどの万能細胞を使い、試験管の中で培養するという方法もあるが、内臓などを構成する細胞を作ることまでは成功しているが、複雑な臓器そのものを作るまでは至っていない状況である。

そして、最近ニュースで話題になったのが、自分の体の中で臓器をコピーする技術だ。詳しい原理はわからないのだが、①体から臓器細胞の一部を取り出し、万能細胞と組み合わせて培養した後、②再度、体の中に戻し、元の臓器の一部に接続するらしい。③そこである程度臓器として各機能が動くくらいの大きさ、だいたい5か月の胎児の臓器と同じ大きさに成長したら、体外に取り出して、④残りは巨大な試験管の中で通常の大きさまで育てたら、⑤その臓器を冷凍保存するという流れのようだ。これが実現すれば、近親者の病歴から予想される、自分の弱い臓器を、予め若い健康な時に作っておけば、いざと病気になったら、作った臓器を移植できるということだ。

今のところ、サルで腎臓、肝臓、膵臓の生成に成功したそうだ。この方法が上手くいけば、細胞の取り出しなどは腹腔鏡手術で行うことができ、自分の細胞ということで体内に戻す時も拒絶反応もないなど体への負担が小さいことに加え、自分の体のものなので倫理的、宗教的な問題もほとんどないということで、各方面からかなり注目されていて、もうすぐ人体を使った実験も始まるそうだ。

しかし、この方法にも、子供や孫に臓器を作らせて、それを自分に移植するという人が出るのではという懸念などがあるそうだ。まさに、神の領域に近づくと、また新たなモンスターを生まれるという、どこかのマンガか何かのセリフを思い出したニュース記事でした。