2020年の妄想ブログ:
以前書いたトラッドニュースで話していた「偏差値レーティング」に本気で取り組んだベンチャー企業がでてきた。この会社ではAIを使って、小説、マンガを対象に下記8段階の「偏差値レーティング」を判定するサービスを始めたそうだ。
A:小学生低学年から幼児が理解できる
B:小学生中学年から高学年が理解できる
C:中学生が理解できる
D:一般的な高校生が理解できる
E:大学進学を考えている高校生が理解できる
F:有名大学レベル
G:有名難関大学レベル
H:医学部、超難関大学レベル
具体的な仕組みは詳しく公開されていないが、小説、マンガのセリフの全テキストから、使われている単語や言い回しの難度、歴史や科学知識、理論の複雑さ、登場人物の関係などを解析して、判断しているそうだ。
現在、その会社のサイトではサンプルとして200の小説やマンガで判定したレーティングが公開されている。もちろん、AIなので人間が見ると、これはおかしいだろうというのもいくつかあった。例えば、星新一の短編はその意味・意図を理解するのは難しいがB、シャーロックホームズの児童書はトリックの理解が難しいのかEがつけられたりしていた。しかし、ドラえもんはA、エルマーの冒険はB、時をかける少女はD、DEATH NOTEはFと、個人的感想だが、概ね初めてその本を読むときに参考にしても良いレベルの判定結果だった。ちなみに、全体的に明治、大正の文豪作品は言い回しが古い分、難度が高くなっているようだ。
この会社の代表によると、この技術を使い、制作中の映画やドラマのシナリオを対象にターゲットの客層にマッチしているかをチェックし、単語の補正や追加解説の有無を助言するサービスとして展開するつもりだったらしいが、大手企業の人事部から論文チェックに使いたいという問い合わせが多く、現在戦略方針の転換中だそうだ。
また、彼のコメントでは、このレーティング判定はロジックがブラックボックスのディープラーニングのため、感想レベルの見解だが、判定を決める大きな要因は表現や表面的な関係性で、いわゆる「奥深さ」は考慮されていないとのことだ。従って、このレーティング結果だけで「子供向け」とか判断することはしないでと念押しをしていた。
個人的にもその意見には共感。