小説
お盆に帰省するのは3年ぶり。 駅前の商店街。高校生の頃、よく買ってたお肉屋さんのコロッケの香りが懐かしい。 「優花!」 「あっ、母さん。母さんも丁度帰るところ?」 こんなところで母に会うのは気恥ずかしいが、ちょっと嬉しかった。 「少し、早いんじ…
(前編はこちら) 「そして、二つ目は3カ月の入院期間に彼の才能の覚醒要因となった夢を見せること。」 出木杉の言葉を聞いた二人は天井を見た。 「亡くなる少し前、僕は彼からその話を聞いたんだ。昏睡状態の時、長い夢を見ていたと。自分の子孫が未来からタ…
-1- 「あれれ、一人ということはまだ早かったか。」 おそらく銀座かどこかの老舗で仕立てた高級スーツを身に付けているが、着るというより着せられたという表現が合う恰幅の良い男が、東京某所にある研究所のエントランス前でタクシーを降りた。そして、広い…
以前、書いた架空の物語「ツノアリ、ツノナシ、レガシィ」の続編です。 西暦23xx年、人類はツノアリ、ツノナシ、レガシィの3つのタイプに分類された。 後に「ツノアリ」と呼ばれる鬼の角のようなものが生えた人が発見されたのは2200年ころ。世界的に初めて…
今週のお題「鬼」 今年の正月に見た夢を基に300年後の世界のことを語ります。 西暦23xx年、人類は3つのタイプに分類された。 ひとつは前頭部、両の眉尻の上に通称「鬼骨」と呼ばれる骨があり、それが成長して角が生えているように見える「ツノアリ」、 もう…