以前、書いた架空の物語「ツノアリ、ツノナシ、レガシィ」の続編です。
西暦23xx年、人類はツノアリ、ツノナシ、レガシィの3つのタイプに分類された。
後に「ツノアリ」と呼ばれる鬼の角のようなものが生えた人が発見されたのは2200年ころ。世界的に初めて有名になったのはエジプト人の青年の動画投稿。その後、アメリカ、インド、ブラジル、オーストリアなどで同様の報告があり、3か月後には全世界で公式機関の確認者が100人を超えていた。当初、これは何らかの伝染病か、もしくは伝染病の後遺症だと思われていた。
その角らしきものは長さは0.5cmから1.5cm、直径は1cmから2cm程度で、左右両方の「こめかみ」の上あたりに1本ずつ生えていた。
当初、その症状が発症したものは見た目から差別にあったり、または差別されることを恐れて人目を避けたりしていた。また、彼らは基本健康であったが、最終的には何らかの疫病を発症するのではという恐れから、本人たちも周りの人たちもをなんかギクシャクとした関係になった。
しかし、ミュージシャンであり、高名なAIエンジニアでもあるミシェル・ジェイクスが筋肉隆々の上半身と「角」を誇示し、「恐れるな、その姿を誇れ」という啓蒙ムーブメント「8月のサクラメント」を始めたのを機に、その症状を持つ人たちは誇りを持って自分の姿をさらすようになった。
この運動により、この症状になった人の統計調査が大きく進むことになって、その結果、男性も女性も同じくらいであることや、人種や地域による発生率の差がないことがわかってきた。
それから1年後、アメリカのゴードン博士により、頭蓋骨の一部の成分組成が変わり、具体的には骨密度に関係するカリウムが非常に多く含まれていて、突起状に成長するというメカニズムが解明され、この骨は博士によりカリウム元素(K)を多く含む(Included)骨ということでKI-bornと命名された。
そして、日本ではその特徴も相まって「鬼骨(KI-kotsu)」と呼ばれるようになった。
そして3年後には、世界人口の約1%の人類で見られる症状となった。初期のころは差別に気を病み精神的不調やそれを要因とする体調不良を訴える人が発生したが、それらのケースを除くと、これが肉体的な不調を引き起こすことはないことがわかってきた。
つまり、この鬼骨を持っていても健康には影響がないということが判明したのだ。
また同年に、外側へ突起状に成長せず、脳の内側に若干成長するタイプの骨を持つ症例があることが判明。この骨は成分が鬼骨と同じため、鬼骨の亜種として扱われた。
それから人々は鬼骨により角が生えたような容貌のタイプを「ツノアリ」、鬼骨を持っているが見た目ではわからないタイプを「ツノナシ」と呼ぶようになった。
やがて、「ツノアリ」、「ツノナシ」が世界人口の3割を超えたころ、鬼骨を持たない人を「レガシィ」と呼ぶようになった。
そして、このツノアリ、ツノナシ、レガシィは人種や性別のように人のタイプを分ける属性(アトリビュート,Attribute)のひとつだと考えられるようになり、日本ではこのタイプ名のことを「アトリ」と呼ぶようになった。
(Picture By Pixabay)
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今週のお題「鬼」