お盆に帰省するのは3年ぶり。
駅前の商店街。高校生の頃、よく買ってたお肉屋さんのコロッケの香りが懐かしい。
「優花!」
「あっ、母さん。母さんも丁度帰るところ?」
こんなところで母に会うのは気恥ずかしいが、ちょっと嬉しかった。
「少し、早いんじゃないの?」
「今日は優花も帰るから早く帰ることにしたのよ。あなただって早いじゃない。」
「そうね、予定よりもだいぶ早く来ちゃった。」
駅から遠い我が家も母とどうでも良い話をしていると短く感じた。
「あっ、お父さん。」
門の前で迎え火の支度をしていた。まだ日が高いというのに。
すると、父を見つけた隣のおばちゃんがスーパーの袋を持って走ってきた。
「今日も暑かったね。この辺は昔はもうちょっと涼しかったのにね。はい、山梨の親戚から今朝届いた桃よ。優花ちゃん好きだったでしょ。」
おばちゃん、相変わらず早口。でも、私の好物覚えていたんだ。
「それにしてももう迎え火焚くの? まだ明るいでしょ。」
無口な父が珍しくすぐ答えた。
「優花と母さんの新盆だから早く帰ってきて欲しいからね。」
そう呟いて、オガラに火をつけた。
なんか懐かしい香りだった。
「ただいま、父さん。」