未来そうぞう日記

知的障害を持った息子と巡る日曜の東京、神奈川周辺の散歩、未来予想(妄想?)、そして気になる話題を報告します。

これが将軍の見る景色です

これが将軍の見る景色です

 

こちらは週刊ヤングジャンプで連載中の人気漫画「キングダム」16巻の有名な名言。

中国の秦の始皇帝が中華統一を為した時に活躍した将軍「信(李信)」が主人公。これは信が若かりし頃、重傷を負った王騎将軍を馬に乗せて退却するときに言われた言葉。この一言で信は戦場全体が見えるようになり、退路を見つけることができたのと同時に、将軍が見ているものは何かというのを初めて理解した、いわばアハ体験です。このシーンはキングダム前半のクライマックスシーンであり、このセリフはある意味、彼に残した王騎の遺言とも言えますね。

作者の原泰久氏はシステムエンジニアとしてサラリーマンとして3年間過ごした後に漫画家に。そこでの経験を生かし、中国の歴史ドラマに組織マネージメントの要素を加えたエンターテイメント作品に昇華させた点がこの作品の凄い所ですね。

ビジネス指南にも使える漫画としては週刊モーニング連載の「宇宙兄弟」がありますが、こちらは数人のグループ、チームとしての組織をキングダムは10名、100名を超える大規模な組織を対象にしていて、前者は個を生かす組織論、後者は集まった人の力を生かす組織論を展開。両方とも好きな漫画の一つで新刊が出る都度、毎回興味深く拝読しています。

で、話を戻します。「将軍が見える景色」ですが、ビジネスでも良く複数の視点で且つ広い視野を持って物事を見るという考えがあります。例えば市場から何らかの不具合発見の報告があったとき、末端のITエンジニアの立場だと直ぐに修正しなければと思いますが、その不具合がどれくらいの人に影響があるのか、どれくらいの頻度で、どんな問題を引き起こすのか、また、それを修正するのにどれくらい時間がかかるか、修正による既存機能への影響はないか、確実に修正できるのか等々いろいろ考えます。そして、管理職はその影響度合いや顧客からの反応を見ながら、即座に修正すべきか、修正せずに様子見か、次の機能追加バージョンアップに合わせて修正するかを判断します。

その他の例としては人気が落ちてきた製品に対しリニューアルか、キャンペーンなどのテコ入れかを判断するときも、同様にいろんな視点で考え、さらには製品の撤退というあまり使いたくない手段の選択肢も検討と、つまり広い視野で複数の視点から物事を見ることは管理職にとって必要なスキルとなります。

そして、「広い視野で複数の視点」と「将軍が見える景色」は非常に似ていますが、「立っている場所を変えて、複数の方向から順番に見る」のに対し、「高い位置からの一つの視点で全体を同時に見る」という違いがあると個人的には考えています。

前者は見落としが起きにくいメリットがあるが、判断の軸がぶれる問題があります、一方、後者はちょうどメリット、デメリットが逆転、つまり製品やサービスの方向性がぶれない判断をすることができるメリットとして挙がります。この判断はその製品やサービスが好きで使っているユーザーサイド側だけでなく、製品やサービスを提供する側にも受け入れやすいという副産物があります。

この「将軍が見える景色」で判断する管理職、またはリーダーがトップにいる組織は本当幸せですね。