UIとは直訳的に言うと「使う人(ユーザー)と製品との接点」で、ユーザーが製品からの情報を認識するための画面表示や音声等の出力系と操作するためのハンドル、レバー、ボタンなどの入力系から構成されます。
今回は機動戦士ガンダムシリーズでモビルスーツの操作UIについて考察してみます。
先ず、初代のガンダムですがコックピットはこんな感じ。
正面に50インチくらいの大きなスクリーンと左右に30インチくらいのサブスクリーン。
全話を細かくチェックしてませんが基本サブスクリーンは前方左右の固定カメラだったと思います。だから、後方を見る場合はガンダムの機体ごと後ろに「振り向く」必要があったと思います。機動性は高いのでパイロットの思い通りに振り向かせることはできると思いますが、かなりのGがかかるので体的には結構大変だと思います。
ただし、ニュータイプの場合はカメラではなく意識で敵の存在を感じるので、確認のために振り向くのではなく、銃口を向けるため、敵を撃つために振り向くのですが。
射撃用のスコープはこちら。おそらく、網膜センサみたいなもので焦点を検出して銃口を向ける方向を決めていると想像されます。
引き金はレバーにある親指のボタンになります。
このレバーは左右それぞれにあり、両手で操作しますが前後に押すか引くかしかできない感じです。ガンダムの進む方向は腰のあたりにある2つのノズルと足の裏のノズルです。こちらで移動方向と体の向く方向を制御していて、さらに足元にあるペダルで出力をコントロールしていると思われます。つまり、自動車で言えばレバーはハンドルで、ペダルはアクセルペダル相当なんでしょう。では、手や足はどう動かしているかというと、推測ですが移動に合わせて自動で最適な姿勢を取っていると思われます。
また、レバーはノッチ型(カチカチと数段階で状態を選択する)だと想像され、例えば0度→45度→90度というような大雑把な制御しかできないように思われます。細かなニュアンスはペダルで伝えて、劇中のような繊細な動きを実現していたと思われます。
次はΖガンダム。こちらはクワトロ・バジーナことシャア・アズナブルが乗るリックディアスのコックピット。初期のガンダムの時代から6年経過していて技術が進化。このように周囲の視界が上も下も後ろも見えるようになった全天周囲モニター・リニアシートに変わっています。
索敵情報は正面の15インチくらいのモニターに表示されるようになっていて、スコープは無くなっています。スコープはヘルメット側に付けた可能性もありますがヘルメットが無くても確か撃てたような気がするので、このモニター側あたりに視点を検出するカメラセンサーがあるかもしれませんね。
また、両手で操作する装置はスティック型に進化。これならばかなり細かいニュアンスを伝えることができそうです。
ちなみに現実の戦闘機での視界はポリカーボネート製のガラス越しに直接外界を見るようになっていますが、こちらはカメラ映像をモニターに投影しています。この場合、遠方の物を見るときもパイロットの焦点距離はモニターまでの距離になります。直接見る場合、目が焦点を合わせる動きで何となく相手との距離を無意識に感じることができるかもしれないが、モニター経由で見る場合はそれができない分、距離感は映像の大きさのみで判断することになり、操作反応速度に影響があるかもしれません。それが0.01秒でも生死をわける戦場だとかなり重要かもしれませんね。
一方、モニター型の弱点でカメラが壊されてその部分の映像が表示されなくなる場面が劇中でもありましたが、よく考えると複数のバックアップカメラを用意すれば解決するのではと思いますね。ただ、当時はカメラは高価だったのでカメラを必要以上に複数つける発想はなかったでしょうが。
全天周囲モニター・リニアシートという点は変わっていませんがコックピットブースが球体で、さらに全方位が見やすくなっている感じがありますね。
また、両手の操作系はスティックタイプから手をすっぽり入れるタイプになっています。中身はどうなっているか不明ですが、5本の指が独立している分、さらに細かな操作ができるようになっていると想像できますね。
なお、逆襲のシャアでは何度も利用可能なエアバックで衝撃を和らげる装置が導入されていますね。
ガンダムの世界以外でロボット操縦のUIはエバンゲリオンみたいな脳や神経の電気信号を使うタイプもありますが、反応速度が速いというメリットはあるが、脳や精神の疲労が高そうで意外とこれらの操縦方法も良いかもしれませんね。
(参照元)
画像1~4:機動戦士ガンダム 第一話より
画像5-7:機動戦士Ζガンダム 第一話より