先日、こんな記事があった。
この記事の中では下記のどれが公正な分配ですかという問題について語られている。
① 平等分配
② 必要性分配
③ 実績に応じた分配
④ 努力に応じた分配
例えば、社員10人の会社で5,000万円の利益が得られた時、以下のように分配される。
①平等分配
利益を人数で割って分配。全員一人あたり500万円となる。
②必要性分配
例えば経済的な負担となる扶養家族で分配を決定する。例えば大学、高校生の子どものいる人は多くして800万円、扶養のない独身の人は少なくして400万円とか。
③実績に応じた分配
例えば利益の貢献率に応じた分配。今までにない販売ルートを開拓した営業担当に800万円、開発成果物が期待したものより20%少なかった技術者は400万円とか。
④努力に応じた分配
例えば労働時間に応じた分配。有休もとらず毎夜夜遅くまで働いた総務の職員は800万円、定時帰宅で有休もきっちり全て使った法務の職員は400万円とか。
②、③、④は実際に適用しようとした場合、上記ほど単純な基準で分配比率が決まるわけではないし、実世界では②、③、④のハイブリッド(混合)となるが、ここでは解説のために極端な例でイメージを掴んでください。
この記事の中でどれが一番良いかというアンケートで1995年では
① 平等分配:男性5.2%、女性7.5%
② 必要性分配:男性9.8%、女性9.1%
③ 実績に応じた分配:男性30.4%、女性16.6%
④ 努力に応じた分配:男性51.2%、 女性62.2%
③の努力を支持する人が半数以上ですが、2018年(2年にわたり複数回調査)の結果では
① 平等分配:男性49.0%、女性53.2%
② 必要性分配:男性5.9%、 女性5.5%
③ 実績に応じた分配:男性19.6%、女性16.5%
④ 努力に応じた分配:男性25.5%、女性24.8%
①の平等を支持する人が半数に。すごく大きな意識の変化ですね。
これには、どんなに努力をしても、また結構実績を積んだとしても大して給料が上がらないという愚痴を大人の先輩からをよく聞き、若者自身もそれを感じとっているという背景があるのかもしれませんね。
改めてこれを国の政策(ポリシー)で考えると、①は社会主義、共産主義、③は資本主義、自由主義に相当しますね。現在、世界の多くの国は極端にどれかを選択するのではなく、割合は国によって違いますが①から④をミックスしていますね。
ただし、グローバル化で多くの国と付き合う現在では①の比率が高い社会主義国は消滅または方針展開で③の資本主義を中心に②の社会保障や④の最低賃金制度などを組み入れた国が多いですね。
その中で日本の若者の半数以上が①の社会主義的な方向を支持するというのは興味深いです。今までの延長線上として考えると社会主義国は二十世紀時点で否定され、その多くが消滅。唯一大国として残っている中国も現在においては資本主義の考え方が多く導入され、資産が100万ドル(感覚として1億円)以上の富裕層が500万人を超しているらしい。それでも社会主義を支持するというのはある意味不健全と言えるかも。おそらく多くのオジサンにとってこの状況は悲観的に見えるでしょう。
その一方で、資本主義は経済活動が拡大していくことを前提に各国が競争しあうのだが、SDGs視点で見るとそれは好ましくない状況で、最小限の経済活動で得られたものをみんなで平等にシェアするほうが持続的な社会を作る方法としては適しているのかもしれない。もし、SDGsを意識した結果のこの考えだったとしたら世界的に最先端なのかもしれません。
と言っても自分の若い時を考えるとそんなことは考えていなかったので、深く考えている若者はそんなにいないでしょうが。。。
それでも平等社会を目指すというか、支持する日本の若者が凶と出るか、吉と出るかわかりませんが、50代を過ぎたオジサンとしては温かく見守っていきたいですね。