未来そうぞう日記

知的障害を持った息子と巡る日曜の東京、神奈川周辺の散歩、未来予想(妄想?)、そして気になる話題を報告します。

ビジネス小技:上司と自分の意見が違うとき3つの案を提案する

上司と自分の意見が違うとき3つの案を提案する

最近、「選択の科学」という本を読みました。

この本は「選択」に関する法則やそれを実証する実験など科学的な知見を紹介したもので、小さな文字がぎっちり詰まった正味330ページのボリュームたっぷりの本です。

 

この中で解説していた法則で(要約すると)「人は選択できないことがストレスになる」というのがあり、そのことで自分が昔やっていたビジネス小技を思い出しました。その小技とは「上司と自分の意見が違うとき3つの案を提案する」というものです。実例としてはこんな感じです。

 

無茶ぶり上司を説得するには

ある日、部長から製品企画でこんな機能も欲しいよね、あんな機能も必要だねと積み上げた機能てんこ盛りの企画案を提示された。しかも期間は6カ月と超ハード。

日本のガラケーが衰退した理由を知らないのか!とか罵倒して、突っぱねることもないサラリーマンなので了承。しかし、一緒に仕事をやるメンバーに説明することを考えると頭が痛くなる。やる気が上がらない仕事をやること、やらせることほどツライものはないですからね。

 

そこで部長提示案(案A)に対する改善案(案B)を新たに検討。案Aで10あった機能を市場調査で人気が高い5機能にB案を考えた。このB案では案Aより満足度は20%下がるが開発コストがそれ以上の40%下げれるので、黒字化がしやすいという具体的な数字を交えてロジカルなストーリーで説得することを考えました。

 

 案A:部長提示案)

   10機能、開発費5,000万円、価格500円で発売。

   →100,000個売れば黒字。

 案B:自分が考えた改善案)

   5機能、開発費は3,000万円、案Aより満足度が20%下がるので400円で発売。

   →75,000個売れるだけで黒字が達成できる。

 

しかし、これをそのまま提案しても「そんな数字は幾らでも適当にでっち上げれる」と反論を受けるのがオチ。仮に部長がこの提案が一瞬納得いくと感じたとしても、自分の最初の意見が否定されるのですから、おめおめと良い提案と認めるわけにはいかず、却下されるでしょう。

 

そこでさらに捨て案=最初から採用されないと思われる極端な案Cを考えます。40%満足度が下がるが3機能だけに絞り開発コストを66%下げるパターンを案Cとし、これらの3案で部長に比較検討をお願いしました。

 

 案A:部長提示案)

  10機能、開発費5,000万円、単価500円で発売。→100,000個売れば黒字

 案B:自分が考えた本命の改善案)

  5機能、開発費3,000万円、単価400円で発売。→75,000個売れば黒字

 案C:自分が考えた捨て案)

  3機能、開発費2,200万円、単価300円で発売。→73,333個売れば黒字

 

3つの案を挙げることによる効果

この3案を挙げる効果としては2点。

 

 (1)実際の手間より検討作業に手間がかかっているように見える

 (2)本命案を他2案との中間にすることでバランスの良い案に見せる効果がある

 

(1)はやってみるとわかるのですが比較項目や調査方法を考える作業が多く、2つ提案するのが3つに増えてもそんなに作業は増えません。一方、2案よりもがんばって調査した感じがするようで、上司からの好感度が上がります。

(2)は有名な話で寿司屋に行って松竹梅のセットがあると、最上級の松セットは手が出しにくいが、一番下の梅セットは嫌だなと言うことで竹を選ぶ人が多いという法則があり、その効果を狙っています。今回の例ですと数値だけみると案Cが一番良いのですが極端な例として説得力が落ちます。そこで行き過ぎていない案Bは良い感じのバランスでは?と思えてきます。

3つ目の効果とは

そして今回、冒頭の本を読んで3つ目の効果に気付きました。

 

 (3)2案では上司と部下の勝負となるが、3案だと客観的な提案からの選択になる

 

(3)は2案でその一つは上司の案となると、その上司から見たら部下とのガチンコ勝負に見えますね。そうなると上司は頑なに部下の案を却下しようと攻撃してきます。しかし、3案ある=自分の案以外に2案あることは、自分の案を却下しても、その上司には残り2つから選ぶという選択の余地があることで大きくストレスが緩和される効果があるということですね。なるほどです。

 

ということで、この小技結構使えますので皆さんも参考にしてください。

もちろん、上司以外も厄介な顧客にも効果はあります。

また、この応用として、上司からとんでもない指示が出たときは代案を2つ考え、その2つから選択してもらうようにしましょう。

 

なお、この小技を使っても上司は自分の案に固執し失敗することがありますが、そんなことが続き、辛くなった場合は迷わず異動届や転職を検討してください。