未来そうぞう日記

知的障害を持った息子と巡る日曜の東京、神奈川周辺の散歩、未来予想(妄想?)、そして気になる話題を報告します。

(未来予想番外編、創作小説)ツノアリ、ツノナシ、レガシィ その3

以前、書いた架空の物語「ツノアリ、ツノナシ、レガシィ」の続編です。

 

 

西暦23xx年、人類はツノアリ、ツノナシ、レガシィの3つのアトリ(タイプ)に分類された。

 

初めてツノアリが世界に認知されてから約30年後、ツノアリ、ツノナシの発生メカニズムはいまだ不明だったが、あるいくつかの法則が発見された。

 

当初は鬼骨が成長する症状は年齢に関係なく発症していたが、最初に確認された年以降に生まれた子供たちは、発症する子供は3歳くらいまでに発症していて、3歳までに発症しない場合は成人しても発症しないことがわかった。

そして、西暦23xx年の現在ではツノアリ、ツノナシ、レガシィどのアトリになるかが約3歳までに決まることは誰も知っている常識となっている。

 

そんなことから、このアトリは遺伝的なものではないかということで、DNAとの関係が丹念に調査された。また、各国でアトリの地域(生活環境)分布、人種、血液型、発症年齢、親子関係などいろんな統計情報を調査、集計したが、発症との相関関係があるDNAを見つけることはできず、地域差、人種、血液型との相関関係も見出すことはできなかった。

 

しかし、これらの統計情報から、同じ両親から生まれる兄弟は全て同じアトリという法則(第一法則)が実証された。現在、この法則が成り立つ確率は最新の調査で99.998%。ほぼ間違いないようだ。

 

そして、さらに生まれた子供たちは両親のアトリに関係なく1/3の確率でアトリが決定するという法則(第二法則)も実証された。こちらも両親の組み合わせとしては9通りあるが、どの組み合わせでもツノアリが生まれる確率は1/3、ツノナシもレガシィも1/3だ。つまり、両親がツノアリ同士でもツノナシやレガシィが生まれることもあるし、ツノアリ、ツノナシの両親からレガシィも生まれることがあるし、ツノナシの子やツノアリの子が生まれることもある。両親のアトリは全く引き継がないということだ。

 

兄弟が必ず同じという第一法則ではDNAではなくても遺伝的な何かと考えられたが、両親のアトリを引き継がない第二法則では遺伝的なものではないと結論づけられている。そもそも、遺伝関連であれば発生確率はメンデルの法則の延長で考えると、ツノアリ:ツノナシ:レガシィは1:2:1の割合で発生するはずだがそれぞれ1/3の確率と異なっている。

 

西暦23xx年の現在でも、この第一法則と第二法則の両方を結びつける理論は未だ糸口さえ掴めていない状態で、遺伝するかしないかについては度々、人々の論争のネタになるそうだ。

 

一方、そんな性質も持っていてもアトリの純血を守ろうとする思想があり、レガシィの名家同士が結婚しレガシィの子孫を、ツノアリの名家同士が結婚しレガシィの子孫を残そうという人たちがいるようだ。しかし、どんな敬虔な崇拝者同士が結婚しても、生まれてくる子供のアトリは親の意思に関係なく1/3の確率で振り分けられる。さらに3歳になるまでどのアトリなのかはわからない。このため、子供が3歳の時に離婚して、さらにその子供が里子に出されるという悲劇が世界のあちこちで発生した。

 

また、一人目の子どもがいる女性が不倫をして二人目の子どもが生まれたとき、兄弟姉妹でアトリが違うことで、腹違いであることがすぐにわかるようになった。そのケースでバレる確率は2/3。不倫の子どもであっても気が付かない、または気が付かないふりをして、子供が大人になるまで幸せな家庭を保ち続けるというケースが昔はあったようだが、どうしても明確な事実として突き付けられるため家庭崩壊を防ぐのはほぼ不可能のようだ。なお、これを警戒して一人目が生まれる前に女性は不倫をしようという運動もあったとか。

 

この三歳までのアトリが決まることと第一、第二の法則は世界中で男と女の悲喜劇を起こし、ドラマや映画の名作を生みだしたのは誰もが認める24世紀の事実らしい。

 

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(Picture By Pixabay)