未来そうぞう日記

知的障害を持った息子と巡る日曜の東京、神奈川周辺の散歩、未来予想(妄想?)、そして気になる話題を報告します。

アメリカの市境に翻弄された話(その2)

アメリカの市境の話続き。

 

アメリカではシティやタウン、日本で言う市や町村に属していない土地があり、そこにも人は住んでいるという話をしたが、その人たちの住所の話。

 

結論から言えば、州名、カウンティ名、ストリート(道路)名+番地(ハウスナンバー)であるが、それで郵便が届くかというと無理な話。例えばカリフォルニアで一番広いカウンティーはSan Benito Countyで約52,000km。正方形にしたら一辺が228km。東京から浜松までの直線より長い距離になり、明らかに無茶なことがわかります。

 

その代わりに使われているのが数字5桁のジップコード(=ZIP code、郵便番号)です。このジップコードは基本、人が住んでいる場所、厳密にはその住宅前の道路には整備されています。(さらに道路もない山奥のへき地に住んでいる場合は例外ですが、この場合の郵便物は、郵便局や公民館みたいな場所で預かっていたりします。)

 

また、このジップコードはカウンティしか設定されていない過疎エリアだけでなく、シティ地域でも住所を示す重要な情報として重宝されており、アメリカのマクドナルドやピザハットなどチェーンの店舗検索はシティやタウンによるエリア指定は無くても、ジップコード指定は必ず用意されています。これはこのジップコードが郵便配達に特化して整備しているので、広いシティでも「地域」を示す程よい広さ毎に分割して付与されて使い勝手が非常に良いのです。

 

そして、ジップコードはUSPS=アメリカ合衆国郵便公社が管理していますが、このジップコード単位に対応する地名「ポスタルシティ」が制定されています。

 

しかし、「ポスタルシティ」が結構曲者だったります。USPSはシティなどの地方行政サービスとは独立していて、地域によってはジップコードとシティのエリア境界線が全然違っていて、これに伴い同じ地点でもシティ名とポスタルシティ名が違うという問題が発生したりします。

 

この理由としては(1)小さいシティや境界が入り組んでいるシティの場合、まとめてひとつのジップコードが付与されていて、どちらか片方をポスタルシティとして採用するケース、(2)そのエリアを指す名称として地方行政としてのシティ名と違う名称のほうが使われているケース(例としてはLos Angeles市にあるHollywoodエリア。Hollywood市は存在しないです)とかが挙げられます。

 

そんなこともあり、ポスタルシティには(A)USPSが推奨する名称、(B)推奨はしてないが郵便での住所表記に使うことを許可している名称、(C)利用しないでほしい名称(昔の名称など)のタイプに分かれ、1つのジップコードで複数のポスタルシティ((A)は必ずひとつだけ)持っていたりします。

 

このあたり国の機関がきっちり決めて、変更(市の合併など)があっても1年程度の混在期間は許容するものの、その後は新しい住所に切り替わるのが常識である日本から見たら驚きのルールですね。

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