前回に引き続き定年の話。
前回、年功序列で就いた管理職が老害にならないように役職定年(管理職としての定年)があるとどうかという話をしたが、定年制度そのものは個人的には反対ですね。
いつまで働けるかは健康状態や資産状況などによって変わるので人それぞれだと思います。まだ元気でやる気も仕事をこなす力もあるのに60歳や65歳で仕事を辞めなければならない、または雇用形態を変えて仕事は同じなのに給料を下げるという制度はどうなのかなと。
一方、50歳近くなり同期が集まると病気自慢に花が咲きますが、人によっては体を壊さないまでも毎日フルタイムで働くことが肉体的に精神的にツライという人たちもいます。その人たちから考えると60歳、65歳まで働くというのは緩やかな拷問ですよね。
そもそも定年前に仕事を辞めることはできますが、日本だと金銭面で3つの問題、①まだ年金が貰えない、②年功序列の恩恵が受けられない、③自己都合退職のため退職金が大幅減額される問題があります。
このうち、①については諸外国で同じ事情で財源なども考えるとこれは仕方ないかと思いますが、②、③については日本特有の問題ですね。日本でもFIRE(経済的に自立して早期にリタイアする)という言葉をよく聞くようになりましたが②、③のことを考えると40代後半から50代前半は二の足を踏んでいるようです。そして、その人たちはそのつもりが無くてもそのまま会社に残り老害になっていくという悪い流れを生んでいるようです。
私は運よく早期退職プログラムで③は会社都合で減額されず、②をフォローするというわけではないが少しだけだが退職金の上乗せがあることから会社を辞めることを決め、それでもアーリーリタイアできるほどの経済的余裕はないのが、セカンドキャリアとしてある程度自分がやってみたい仕事に転職することができました。
また、定年問題でもうひとつ日本独自の課題は④転職しにくい、人材の流動性がないことですね。定年まで一社で働き続けることが良いという風潮があるためか、定年前の転職は悪とまでいわないが、大企業を中心に好ましくないと思われているようですね。
なんでも海外の真似をすれば良いというわけではなく、日本式の年功序列+終身雇用定年制度は仕事の安定性を生み出し、第二次大戦後の日本の成長に大いに貢献したとは思います。しかし、寿命が延びることに伴い定年も延長、一方でITの発展により海外の国との競争が激化、さらに21世紀の産業革命と呼ばれるパラダイムシフトが現実味を帯びてきた現代では企業内の新陳代謝が起きにくいこの制度はかなり厳しい制度だと思います。
ただ、②の年功序列の扱いはかなり変わってきたような気がしますが、③の自己都合の退職金減額のルールや④一生涯一社は正義という考えがまだまだ大企業を中心に残っているようです。こちらは早く改善されるというですね。