湯島散歩の続き。
湯島天神から鳥居の前の道を南に500mくらい進み、清水坂と交差する左手の小道に「吉夢(よいゆめ)」と「妻戀(恋)神社」と書かれた提灯がありました。
こちらが妻恋神社です。
昔、日本武尊が東京湾上で暴風雨にあったとき、同船していた妻の弟橘媛(おとたちばなひめ)が身代わりとして海神(わだつみ)を鎮めるために海に身を投じたおかげで、無事房総に上陸でき、東国(関東)を平定したという伝説があります。その帰路で妻を思い現在の群馬と長野との県境にある鳥居峠で平定した東国の方を向き「吾妻者耶(あづまはや)・・・」と嘆いたとか。その故事からそのあたりは嬬恋村となり、東国平定のときに野営地とした湯島に弟橘媛の霊を鎮めるために建てた神社がこの妻恋神社の始まりだそうです。ちなみに東を「あずま」と呼ぶのはここから来ているという説もあるそうで。
また、神社の公式ページによると湯島は「聖なる水際の地」という意味があるともいわれ、水が豊富で稲作が盛ん。そんなことから稲荷神社も建てられたそうだ。
こちらの絵馬は日本武尊、そして背後にうっすらと妻の弟橘媛が描かれていますね。
そして、さらに清水坂を南下すると中山道と交差。そこから東に進むとあるのが「神田明神」 江戸三大祭りで一番注目度の高い神田祭でお馴染みの神田明神です。(神田祭はこちらの古い記事参照。)
鳥居の左脇にあるのは甘酒の天野屋さん。創業は1846年の老舗です。
こちらは隨神門。50年近く前の1975年に再建。鮮やかな朱が特徴ですね。
こちらが御神殿。神田明神のご祭神は三体。一之宮は大己貴命(おおなむちのみこと、大国主、おおくにぬし)=大黒様、二之宮は少彦名命(すくなひこなのみこと)=恵比寿様、三之宮は平将門命。将門というと大手町の将門塚を思い出しますがこちらで供養、管理しているみたいです。
神社としてはそれほど大きくないのですが、神田や日本橋などの氏神様。この日は12月26日と正月前の日曜ですが多くの人が参拝していました。
狛犬のデザインがちょっと尖っていますね。
絵馬は因幡の白兎をモチーフにした大己貴命。この他、恵比寿様デザインもあります。
お次は中山道を横断した南にある湯島聖堂。こちらの前身は中学の日本史で習う徳川五代将軍綱吉が建てた「昌平坂学問所」
こちらは大成殿。
こちらの建物の特徴は屋根に乗った鴟尾(しび)。通常、頭が虎で尾が魚の龍頭魚尾だがここでは頭が龍でしかも水を噴き上げている鬼犾頭(きぎんとう)という珍しい物。
また、屋根の下の方には鬼龍子(きりゅうし)。狛犬ならぬ狛猫でしょうか。
こちらに祀られているのは孔子、孟子など中国の高名な思想家たち。学問の神として人々に崇められ、湯島天神同様ここにも多くの合格祈願の絵馬があります。
個人的には20代の頃、湯島天神と湯島聖堂は同じものだと勘違いしていて、ここにくるとちょっと苦い感じが思い出されますね。
こちらは孔子像。
また、本郷通りを挟んで以前の記事で紹介した東京医科歯科大学の敷地には近代教育発祥の地の看板があったりします。
このそばの橋は北に湯島の聖堂、南に写真中央に見えるニコライ堂ということで、聖橋という名になったとか。そして、ここを渡ると御茶ノ水駅ですね。