未来そうぞう日記

知的障害を持った息子と巡る日曜の東京、神奈川周辺の散歩、未来予想(妄想?)、そして気になる話題を報告します。

国境線に翻弄された話

海外向けのカーナビ地図の世界展開を検討したときの話。

 

行政区域の境界線は国、県・州・省、市区町村の階層で太さや線の種類(実線・点線・一点鎖線など)が当然ながら異なってくる。

 

台湾と中国大陸との海上に行政境界線があるが、台湾向けの地図では「国境」となる。

しかし、中国向けの地図では「省境」となる。

 

果たしてどちらが正しいのか?

結局、どちらも正しいのだろう。

 

そもそも国の定義は意外と曖昧。

2021年3月時点で日本の外務省が承認している世界の国の数は196か国。

一方、国連加盟国数は193か国。

例えば北朝鮮は日本外務省は国ではないが国連では国になるんですね。

なお、東京2020オリンピックは206。厳密には「国と地域」という表現ですが。

 

ただし、海を挟んで車で行き来しないので台湾向けと中国向けは別製品の予定。あくまでも境界線の表記種類が違うだけで実用上問題は発生しないが、大クレームに発展するので対応は必須となる。

 

このような課題は地中海に浮かぶキプロス島でもあった。

キプロス島は世界的に見ると島全てがキプロス共和国。しかし、トルコから見ると島の北側部分は北キプロス・トルコ共和国という別の国として承認している。

実情としてはキプロスは2つの国として分断されている。

 

この辺りは周辺数か国をまとめて地図データとして作成するが、北キプロスを国として扱うかをどのように判断するか悩んだ。北キプロスエリアやトルコを走っている場合は北キプロスエリアを独立国として扱い、南キプロスエリアやトルコ以外のギリシャなどの国を走っている場合はキプロス共和国と扱うのが妥当では?となったが、その後、別の人に引き継がれたので、どうなったのかわかりませんが非常に面倒だったことははっきりと憶えています。

 

この記事を読んでいる人は「海外」だと大変だなと思うかもしれないが、日本も例外ではないです。国後島などの北方四島尖閣諸島の扱いは日本とロシア、中国だと扱いが変わっていますからね。

 

総務省で管理している市区町村を識別する「市区町村コード」には北方四島もちゃんと定義されています。

http://www.tt.rim.or.jp/~ishato/tiri/code/hokkai.htm

 

一方、ヨーロッパでオランダからベルギーへ、ベルギーからドイツに自動車で移動したとき、国境線には看板が立っているだけで検問所はありません。EU圏内の移動は日本の都道府県を跨ぐような感じですね。

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宇宙飛行士の毛利衛さんは「宇宙からは国境線は見えなかった」という言葉を残した。

実体として存在しない「線」を巡り、いろんな思いが錯綜する「国境線」

それにしても、この存在しない「線」のために多くの命が失われるのは本当悲しいことですね。

 

ちなみに「国境線は見えなかった」という言葉を最初に言ったのはガガーリンという説もあるとか。ロシア出身というのがなんという皮肉か。